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■琵琶湖、外来魚再放流が禁止された (2004年3月28日朝日新聞 朝刊)

釣りの文化か、生態系の保全か。釣り上げた外来魚の再放流(リリース)が琵琶湖で禁止されて1年。釣りの愛好家と、外来魚駆除に取り組む滋賀県との対立は続く。釣り人の減少という影響も出ている。

「楽しく釣り」課題、愛好家減る

ブラックバス釣りの愛好家、大津氏の浅野大和さん(29)は、再放流を禁じる滋賀県の「レジャー利用適正化条例」が施行された後も釣りのスタイルを変えていない。8歳でバス釣りを始め、19歳で渡米、本場のバス釣りも1年半経験した。「リリースは続けていますよ。魚を殺したくないし、リリースはバス釣りの文化だから」と話す。

条例が出来て、釣り人が減ったと感じている。今月半ば、大津市内の湖岸からボートで釣り場に向かった。周辺に浮かぶ十数艇のボートを見て「例年なら2、3倍の数のボートが見えた」と話す。

愛好家の一人、同市のルアーデザイナー加藤誠司さん(43)も、実感する一人だ。自身もこの1年間、琵琶湖での釣りの回数がそれまでの年平均約50回から数回に激減した。代わって奈良や徳島、岡山のダムや湖に行っている。「琵琶湖では、釣った魚をどうするかを考えなくてはいけないし、ひっそりとした釣り場になった。気持ちよく、夢のある釣ができなくなった」と言う。

県が委嘱するレジャー利用監視委員へのアンケートでは、約4割が「バス釣りの人が減った」と答えている。

その影響は釣具店にも及ぶ。県南部の釣具店はこの1年間、釣具の売り上げが前年比で半分ほどに減ったという。店長は「釣り人の気分を害さないようにリリース禁止の話はしません」。別の釣具店では、約100平方メートルの売り場を半分に縮小した。経営者は「売り上げはガタガタです」と嘆く。

一方、外来魚駆除に取り組んできた市民団体には、県条例は「強い味方」になった。

「01年発足の環境NPO「外来魚バスターズ」(京都市)は毎年月2回、琵琶湖で駆除釣りをしてきた。今月14日、志賀町で実施した時は、地元の中学生ら7人も参加。「釣れたよ」と笑顔を見せる子どもたちの姿に、同団体代表の岩崎魚成さん(50)は「こんな和やかな光景は以前は考えられなかった」と話す。

バス釣りの愛好家の「目の敵」にされた。釣り場でのにらみ合いになったり、ルアーを投げつけられたりすることもあったという。だが、「条例で少しずつ活動が理解されてきた。バス釣り愛好家の敵対感が減り、批判も少なくなりました」と言う。

バス釣りの愛好家の「目の敵」にされた。釣り場でのにらみ合いになったり、ルアーを投げつけられたりすることもあったという。だが、「条例で少しずつ活動が理解されてきた。バス釣り愛好家の敵対感が減り、批判も少なくなりました」と言う。

草津市の漁師横江良三さん(64)は、レジャー利用監視員として土日などに湖岸を回っている。当初は「なぜリリースしたらいけないのか」と釣り人の反発を受けた。次第に顔見知りの釣り人もでき、「在来魚が減った現状を訴え続けることが大切」と感じている。

琵琶湖レジャー対策室の澤田喜之室長は「琵琶湖の新ルールを知ってもらった1年目と違い、2年目はしっかり守ってもらえるように取り組みたい。粘り強い訴えが必要です」と話す。

いま、この条例を巡って一つの裁判が続いている。バス釣が趣味で琵琶湖をよく訪れたタレントの清水國明さん(53)と浅野さんの2人が、「再放流禁止規定は違法」と県を相手取り提訴した。

口頭弁論はこれまで7回。浅野さんらは「在来魚の減少は琵琶湖総合開発などが主な原因で、外来魚増加との因果関係はない」と主張。県側は「外来魚が生態系に大きな影響を与えていることは明らか」と訴え、双方の意見は平行線をたどっている。(大津総局・瀬戸口和秀)

滋賀県のレジャー利用適正化条例

琵琶湖の生態系保全などを目的に、昨年4月に施行された。ホンモロコやニゴロブナなど琵琶湖の固有種を食べる外来魚(ブラックバス、ブルーギル)の再放流を禁止している。罰則はない。県は条例施行に伴い、琵琶湖岸58カ所に回収施設を設置。この1年間で約9.4トンの外来魚が持ち込まれた。

県によると、琵琶湖にいるブラックバスは約500トン、ブルーギルは約2500トン(いずれも02年3月時点)。県は漁業者らによる駆除事業にも取り組んでおり、02年度は計約520トン、03年度は2月末までに計約400トン以上を捕獲した。04年度は計350トンの駆除を目指す。