■定着するか 新ルール 外来魚リリース禁止 <湖国この1年 2003取材ノートより>(2003年12月12日朝日新聞 滋賀朝刊)
「琵琶湖での釣りの新しいルールは着実に広まっている」。県が10月に審議会で配った資料には、確かな手応えて同時に課題も示されていた。「その認知度に比べると行動が伴っていないという指摘もある。」
琵琶湖で釣り上げたブラックバスやブルーギルといった外来魚の再放流(リリース)を禁じた県のレジャー利用適正化条例が4月に施行された。以来、今月8日までに回収箱やいけすに持ち込まれた外来魚は約8トン。地域通貨「ノーリリースありがとう券」と交換した外来魚の持ち込み量約16トンをあわせると約24トンにのぼり、県自然保護課が掲げる03年度の組織目標12トンの2倍に達した。
しかし、手放しで喜べる状況でもなさそうだ。県が9月に実施した琵琶湖レジャー利用監視員66人へのアンケート(回答は48人)では、リリース禁止が「よく守られている」は0%。「おおむね守られている」は31%だったが、「あまり守られていない」も27%にのぼった。
しかし、手放しで喜べる状況でもなさそうだ。県が9月に実施した琵琶湖レジャー利用監視員66人へのアンケート(回答は48人)では、リリース禁止が「よく守られている」は0%。「おおむね守られている」は31%だったが、「あまり守られていない」も27%にのぼった。
背景の一つに、回収箱やいけすの数が少なく、その場所が分かりにくいという問題が指定される。回収施設は当初の34ヵ所が現在は47ヵ所に増えた。だが、「回収箱が遠く、釣った魚をどうしたらいいのか」と困惑する家族連れらの姿を何度も目にした。
県琵琶湖レジャー対策室は「利用しやすいように施設の配置などを考えたい」とする一方、リリースする釣り人には「琵琶湖の現状やリリース禁止の必要性を強く訴えていきたい」と強調する。
しかし、「リリース禁止は釣り人の自由」と主張するバス釣り愛好家は依然多い。取材中、釣り上げたバスを目の前で湖に戻した男性は「誰が何を言おうとリリースする」と言い切った。
回収量が今年と比較できる来年は、本当に琵琶湖で新ルールが定着するかどうかが確かめられ、正念場を迎える。リリース禁止が外来魚の駆除や生態系の保全にどれだけ有効なのか。その実効性の検証も含め、来年こそレジャー条例の真価が問われそうだ。 (瀬戸口和秀)
メモ レジャー利用適正化条例には、水上バイクなどプレジャーボートの航行規制水域での航行禁止や従来型2サイクルエンジンの使用禁止(08年4月から全面禁止)なども盛り込まれた。航行規制水域での違反行為をした操船者への停止命令は今月10日までに10件にのぼる。