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■琵琶湖・外来魚リリース禁止 釣り人つれなく (朝日新聞2003年6月26日社会面 朝刊)

条例、施行3カ月 生態系に悪影響を与えるとして、釣り上げたブラックバスなど外来魚のリリース(再訪流)禁止を盛り込んだ滋賀県の「琵琶湖のレジャー利用適正化条例」が4月に施行されてから、まもなく3カ月。2トンを越える外来魚が県の回収施設に持ち込まれたが、罰則がないため、再訪流を続ける釣り人は後を絶たない。条例の実効性は「モラル頼み」といった状況だ。(大津支局・山下弘展、瀬戸口和秀)

絶えぬ 再訪流追う回収

梅雨の中休みとなった土曜日の21日、大津市の琵琶湖岸は釣り客でにぎわった。大阪から来た会社員の男性(23)は、体長25センチのブラックバスを釣り上げると、迷わず湖に返した。「罰則はないし、誰が何と言おうとリリースする」と悪びれる様子もない。

釣り人に条例への協力を求める県のレジャー利用監視員で漁業者の戸田直弘さん(41)には、忘れられない光景がある。4月末、バスをリリースする釣り人を見かけた。「どうしたん。釣れたんと違うの?」声をかけると、釣り人は「逃げただけや」とうそぶいた。

県は条例施行にあわせ、釣れた外来魚を入れる回収箱を湖岸の公園など33カ所に、いけすを漁港など13カ所に設けた。今月の23日までに回収された外来魚は約2.7トン。県の推計で灼3千トン(01年度)とされる琵琶湖の外来魚の0.1%にすぎない。

「回収場所が少ない」「場所がわかりにくい」という釣り人らの指摘を受け、県は5月から携帯電話の県のホームページで回収場所を確認できるようにした。県琵琶湖レジャー対策室は「回収箱を増やし、一目でわかるようにもしたい」としているが、景観との兼ね合いもあり、簡単にはいきそうもない。

一方、地元では、売り上げが落ち込む釣り用品店も出ている。

大津市内のルアー専門店は、4月から、バス釣りの道具以外にアユ、コイなどの仕掛けやえさを売り始めた。それでも4月以降の売り上げは前年同比で3〜4割減。店長は「ルアー専門店で他との差別 化を図ってきたのに」と複雑な表情だ。

別の専門店でも売り上げが同様に15%減った。今年は店頭に水着なども並べた。経営者は「色々な商品を扱っているが、将来が不安」。貸しボート店でも、売り上げが前年より2割減ったところがあるという。

県フィッシングボート協同組合が条例成立前に釣り人約千人を対象に実施したアンケートでは、7割が「リリース禁止になれば釣りにこない」と回答していた。同組合幹部は「釣り大会の開催など、業者の努力で落ち込みをくい止めているのが現状」と話す。

県は駆除事業を85年度から続けており、昨年度は約520トンを捕獲した。駆除事業の効果 なども検討し、18年度には外来魚を0トンにする目標を今月初めに打ち出した。

また、県水産試験場では、バスの不妊化で繁殖を抑制する研究も進んでいる。

県のレジャー対策室は「釣り客減が条例によるものかはわからない」としつつ、「外来魚の回収量 は月1トンのペースで推移しており、バケツや袋を持つ釣り人も増えた。条例は一定の効果 を上げている」と評価。「レジャー客が増える夏休みに向けて、啓発をさらに知恵を絞りたい」としている。


キーワード 琵琶湖のレジャー利用適正化条例

昨年10月の滋賀県議会で全会一致で可決され、今年4月1日から施行された。外来魚の再放流禁止をめぐっては、島根県平田市も努力規定を盛り込んだ条例を4月から施行。新潟、秋田など6県では、学者や漁業関係者らでつくる内水面 漁場管理委員会が期間や水域を限るなどに基づく罰則(懲役1年以下、もしくは50万円以下の罰金)つきの「指示」という形で実施している。