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■「漁業権」不当に要求 県漁連会長ら8人逮捕(朝日新聞2003年1月23日滋賀版朝刊)

「工事の濁水対策がずさんだ」。こんな言いがかりをつけ、建設業者から金を脅し取ろうとしたとして、県漁業協同組合連合会会長の川森芳一容疑者(69)=米原町朝妻筑摩=ら上多良漁協(米原町)の役員8人が22日、恐喝未遂容疑で県警に逮捕された。県警は「漁業補償」の名目で業者への不当要求が繰り返されていた疑いがあるとみて捜査を続けている。3月の世界水フォーラムや4月のレジャー利用適正化条例施行を前に、琵琶湖の漁業に対する関心が高まる中、県や県漁連などの関係者は事態を深刻に受け止めている。

関係者に戸惑い、怒り

調べでは、川森会長らは01年3月、国道8号バイパスの擁壁築造工事を請け負っていた浅井町内の業者に工事を中断させ、「濁水で被害が出た」などとうそを言って金を脅し取ろうとした疑いが持たれている。

逮捕に合わせ、県警は川森会長ら関係者の自宅、上多良漁協事務所など13カ所を捜査した。このうち大津市におの浜4丁目の水産会館内にある県漁連には午前9時半ごろ、数人の捜査員が入り、川森会長の机やロッカーなどを調べ、書類などを押収した。

県警本部では正午前から西山栄一・捜査2課長が会見。川森会長らの逮捕を発表するとともに、事件の背後について「工期が伸びると作業員の人件費や建設機械のリース代などで負担が増える建設業者が、一部の漁業者から漁業補償の名目で金などを要求されるケースは後を絶たない。トラブルを恐れて要求に応じてしまう業者もいる」と説明余罪があるとみて、今後も慎重に捜査していく方針を示した。

県警は99年11月、企業の事業活動をめぐる不当要求に対処するため、捜査2課内に「不当要求対策捜査班」を設置。00年2月には、県の河川砂防工事に絡み、建設業者から漁業補償名目で金を脅し取った容疑で虎姫町の漁業組合長を逮捕している。

西山捜査2課長は「漁業補償名目の要求額は工事代金の0.3%が相場だったが、虎姫町の事件以降は要求する側が逮捕を恐れ、具体的な数字をあげて要求しなくなった」と話した。今回も、川森会長らは建設業者に対して「他社はびっくりするほどの金を持ってきた」などと言って、自発的に金を持ってくるよう業者に求めたという。

県漁連会長らの逮捕を受け、浅田博之・県農政水産部長は「琵琶湖漁業が大変厳しい状況にある中、会長らの逮捕は残念だ」との談話を出した。

県は水産業協同組合法に基づき、県漁連や各漁協を監督する立場にある。琵琶湖での漁獲量 が減り続ける中、ブラックバスなど外来魚の駆除費用を支給し、琵琶湖固有種ビワマスの稚魚の放流なども委託している。 浅田部長は「県民からの疑惑の目を向けられたことに対して、今後、漁業組織全体が県民からの信頼を回復するよう指導していきたい」という。

県漁連の北村勇副会長は「県漁連としては全く関与していない。これら各組合に対して説明する必要があるだろうが、会長は容疑を否認している。今後の予定は決まっていない。外来魚に関する問題への波及が一番心配だ。漁業者だけでなく県民、行政が一体となって外来魚対策を進めているときに大問題だ」と戸惑う。

県漁連青年会の戸田直弘会長も「(外来魚の再訪流を禁止した)条例施行に向けて、漁協全体がまとまっていないとだめな時期に、何を考えているのか。漁協や漁業者全体が疑いの目でみられる」と怒る。

一方、川森会長は、3月に京都、滋賀、大阪で開かれる第3回世界水フォーラムの県委員会の真貝卓哉事務局長は「フォーラムは間近に迫っており、早急に県漁連と対応を相談したい」としている。