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■琵琶湖レジャー適正化条例成立 歓迎、反発、提訴の動きも(朝日新聞2002年10月17日朝刊滋賀県版)

琵琶湖の生態系や周辺住民の生活環境は守れるのかーー。外来魚の再放流禁止や水上バイクの規制を巡って全国的な議論が起こる中、16日の県議会で琵琶湖のレジャー利用適正化条例が成立した。新条例を漁師や自然保護団体は歓迎する一方、釣りの愛好家や水上バイクの業界団体などは反発を強め、県を相手に提訴する動きもある。条例の実効性をどう確保するかなど今後の課題も多い。

実効性確保など課題 全員賛成、原案通 り可決

本会議では、琵琶湖環境農政水産常任委員会の芥川正次委員長が、条例案に「県内外の関心が高い」として、9日の委員会で参考人6人から聴いた賛否の意見概要を伝えた。これを踏まえて「全員一致で可決すべきものと決した」と審査結果 を報告した。

続いて、各会派から1人ずつ計4人の議員が、いずれも条例案に賛成の立場を表明。議員の一人は、県の富栄養化防止条例(80年施行)ヨシ群落保全条例(92年施行)などを挙げ、今回の条例で「(琵琶湖の保全を目指す)先取の気概をさらに力強いものとすることが必要だ」などと述べた。

その後、起立方式で採決があり、議員全員が立って賛成し、条例案を原案通 り可決した。

条例案を受け、大津市内のバス釣りの愛好家の男性(28)らが18日、再放流禁止義務の不在者確認控訴を大津地裁へ起こす方針を表明した。「条例は個人の自由を束縛する。控訴を機に釣り人の意見を広いめていきたい」と話している。

動物愛護の観点に強化

漫画家の矢口高雄さん 琵琶湖の在来魚減少は、ブラックバスより湖周辺の護岸によるヨシ原の減少や、水質悪化の進行で環境自体が変わってしまったことに由来する。そうした環境がバスに適した場所となった。私は一貫して、再放流の普及を動物愛護の観点から主張してきた。再放流禁止は、釣り人が長い時間をかけて築いてきた流れに逆行するものだ。

バス釣りの抑制に効果

写真家の秋月岩魚さん 在来魚の減少は開発行為が原因とするのは事実だが、外来魚が在来魚を食べているのもまた事実だ。条例に罰則がないことは不満だが、外来魚が野放しだったことを考えると、一歩も二歩も前身だ。バス釣りは、密放流という犯罪行為の結果 、広まった。バス釣り愛好者に、罪悪感を持たせ、釣りをしにくくさせる効果はあるだろう。


再放流禁止の主張

大きな焦点となった外来魚の再放流禁止について、条例制定を進めた県と、釣り愛好者や貸舟業者らブラックバス養護団体の考え方は平行線のままだ。双方のこれまでの主張を整理する。

再放流禁止の是非

バス擁護派 バス釣りは再放流がルールとして定着しており、否定することはバス釣り自体の禁止を意味する。再放流が禁止になると、多くの釣り人が琵琶湖に来なくなり、釣り、貸しボート業界に多大な影響が出る。動物愛護の観点からも疑問だ。

県側 琵琶湖に戻る外来魚をなくすことで、85年から続く駆除事業とあわせ、外来魚の数を抑制できる。条例は「釣り禁止」をうたっているわけではない。釣り人には、「再放流禁止」が琵琶湖の新しいルールと理解してほしい。

在来魚減少の理由

バス擁護派 琵琶湖総合開発などでヨシ原が減り、在来魚の生息、繁殖に適した環境が失われた。人口増により水質汚濁も深刻だ。外来魚の食害は、一定の影響が出たと思われるが、湖内の外来魚の大半はブルーギル。バスの影響は軽微だ。

県側 開発行為が在来魚の生息環境を悪化させたことは否めない。しかし、92年のヨシ群落保全条例など様々な取り組みで自然回復に取り組んでいる。外来魚だけが放置されていたので、抜本的対策として再放流禁止を打ち出した。

条例の実効性

バス擁護派 県フッシングボート共同組愛の調査から、年間約70万人の釣り客のうち約7割が来なくなると推定される。残るは条例を無視して再放流を続ける悪質な釣り人。外来魚の減少につながらない。回収方法も不明で、実効性に疑問がある。

県側 釣り人の減少は避けられないかもしれないが、琵琶湖には条例に理解のある釣り人だけが残ると考えている。釣り上げた外来魚を持ち帰らない人のために回収場所を各漁協や湖岸の駐車場など広範囲に設置することを検討している。


水上バイク規制や再放流禁止に賛否

県漁連青年会副会長の鵜飼広之さん バス釣り自体が沈静化し、密放流が止まることを期待している。条例制定により、琵琶湖にバス釣りに来ないという人がいるが、なぜ琵琶湖にバスがいてはいけないのかを真剣に伝える必要がある。

県水産試験場外来魚生態研究担当の井出充彦さん 条例の実効性は、どれだけの人が協力してくれるかにかかっている。周知徹底のほか、釣り上げた外来魚の回収施設の充実を図ることも大切だ。再放流禁止が釣りの新ルールとして定着するのを期待している。

琵琶湖バス釣り人協議会実行委員長の加藤誠司さん  釣り人の協力があって初めて成り立つ条例で、再放流禁で外来魚が減るかわからない釣り人が来なくなり、逆に増える可能性もある。強引な決め方決め方で納得がいかない。

県フィッシングボート共同組合代表理事の寺田京二さん 残念だ。バス釣りでリリースは切り放せないという釣り人の気持ちや、在来魚減少とバスとの因果 関係の科学的根拠のなさなど、組合が訴えてきた点が条例には全く反映されていない。

「緑とやすらぎのある新海浜を守る会」代表の井上哲也さん 環境に配慮した水上バイクなどの開発に努めなければならない業界側の社会的責任を明確にした点で評価できる。水上バイクは危険性や騒音からも前面 しよう禁止にすべきだ。

業界団体「PW(パーソナルウォータークラフト)安全協会」特命担当の村越義明さん 従来型の2サイクルエンジン水上バイクの使用禁止は、所有権侵害の恐れがあるほか、販売店への打撃も大きく納得できない。「被害」への補償などを県と話し合っていきたい。