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■琵琶湖ピンチ 水位 低下、歯止めはいつ  いんさいど滋賀(朝日新聞2002年9月5日朝刊滋賀県版)

琵琶湖の水位 低下に歯止めがかからない。4日午前6時にはマイナス71センチに落ち込み、さらに4センチ前後下がれば、県は渇水対策本部を発足させる。そもそも琵琶湖の水位 はどう測れれ、調節されているのか。雨が降っても水位が下がる日があるのはなぜだろう。渇水でどんな影響が出るのか。日照り続きの夏の終わり、琵琶湖の水位 から目が離せない。 (平林 大輔)

季節で制限 水位 琵琶湖の基準水位は、1874(明示7)年にオランダ技師の指導で瀬田の唐崎(大津市)付近に量 水計が取り付けられ、設定された、東京湾の平均潮位より益5メートル高い。

水位は、国土交通省琵琶湖工事事務所が、大津市の三保ヶ崎と堅田、彦根市、高月町、高島町の湖岸5カ所でフロート(浮き)を使って観測したデータの平均値。各地のデータは、波や水流の影響を受け、洪水時などは10センチ近い差が出ることもあるという。

無線で常時データを把握する同事務所では、毎日午前6時の数値を「公称値」として報道機関などに発表。このほか、川の防災情報のホームページ(http://i.river.go.jp/)では1時間ごとの水位 を公開している。

放水 琵琶湖は、都市用水など供給(利水)と洪水被害の防止(治水)の役割を担う。治水面 では、近畿地方が大雨の場合、瀬田川洗堰からの放水量を制限し、同じ淀川水系の木津川や桂川などの水位 を優先的に流す。これらの川の上流部のダムは、琵琶湖に比べて貯水量が極めて少ないからだ。

一方で、琵琶湖周辺で洪水が起きる心配がある。そこで梅雨や台風シーズン前には前もって水位 を下げている。6月15日〜8月31日は基準水位のマイナス20センチ、9月1日〜10月15日は同30センチに制限され、それ以外の少雨期は逆にプラス30センチを満水位 としている。

制限水位を上回っている時期は、大雨が降っても、放水量 を増やすため、水位が上がらないケースは多い。例えば7月17日は県内全域で雨が降ったが、翌日の水位 は前日よりマイナス3センチ下がっている。

生態系に影響 今年の夏は日照りが続き、8月の琵琶湖の集水域(水が集まる山間部や平野部など)の降雨量 は、平年の約38%の約58.1ミリ。集水域に年30ミリの雨が降ると、水位が約10センチ上がるとされるが、夏場は湖に流れ込むまでに蒸発量 が多く、水位はなかなか上がらないという。

水位低下は、県民の生活や湖岸の生態系に大きな影響をもたらす。

水草の繁茂に悩む北船木漁協(安曇川町)の駒井順一組合長(66)は「漁船のスクリューに藻が絡まるので、自衛策として組合員が刈り取っている。水位 低下がさらに進めば産卵期のアユへの影響も十分考えれる」と深刻だ。

ニゴロブナやホンモロコなどの産卵、繁殖の場を確保するため、県が近江八幡市牧町沖に整備したヨシ帯は、水草のキショウスズメノヒエに被われ始めた。県水産課は「このままま水位 が下がれば、水草に養分を吸い取られ、来年のヨシの新芽に影響が出」と刈り取りを検討している。

彦根地方気象台によると、5日午後から前線の影響で大気の状態が不安定になり、所々で強い雨が予想される。だが、水位 を大きく上げるほどの雨が降るか降るかどうかは分からないという。

琵琶湖工事事務所建設監督官の森川修さん(44)は、「台風や前線の停滞がない限り、局地的に短時間降った雨では、水位 の上昇はほとんど期待できない。節水に心がけることが何より大切です」と呼びかけている。